Skip to content

APOGEEの話

2019年3月1日 APOGEEワンマンライブ2019『CHRONICLE』@渋谷CLUB QUATTROに行ってきました。 昨年の2018年9月22日に行われた「Higher Deeper」ですでに発表されていたけれど、この日でベースの内垣さんはAPOGEEを脱退することが決まっていた。途中でサポートを入れつつも、ずっとオリジナルメンバーでやってきたAPOGEEにとって、今回が初めてメンバー変更になる。そのため、タイトルにもあるとおり、まさにAPOGEEの歴史を紡ぐようなセットリストだった。

APOGEEのことは、たしか中学生の頃に知ったはずだから、もう10年くらい聴いているんだなと感慨深くなった。

やや緊張感のある「Let It Snow」「夜間飛行」に続いて、鉄板の「ゴースト・ソング」。このあたりから緊張感もほぐれて、いつもどおりのAPOGEEライブという気がした。もちろん、メンバーも、観客も、気合の入りようが違ったけれど。「ESCAPE」と「The Sniper」をやってくれたのが嬉しかったな。

「Heart Of Gold」は前回のライブ、「Higher Deeper」のとき、内垣さんの脱退発表後に聴いた記憶が強い。そのせいもあって、「あなた来ないと今夜は台無し」という歌詞が余計に染みた。

ダブルアンコール1曲目が「A Boy In The River」というのは意外な気もしたけれど、「変わることなく ずっとこのままで いられないことなら 彼にもわかった」「A Boy In The River This Night Lasts Forever」という歌詞が当てはまりすぎて…。 流れる川のように、人生はたえず変化していく。内垣さんはAPOGEEという主流から別の流れに乗って行ってしまうけれど、遡れば同じ場所につながっていて、同じ水が流れている。これからも何らかの形でAPOGEEには関わっていきたい、と言っていたから、ぜひとも音源のレコーディングなんかで、また内垣さんのベースが聴けたらいいな。

ラストに新曲を持ってくるのがAPOGEEらしい、と思った。 APOGEEメンバーはそれぞれ家族があって、APOGEE以外にもそれぞれ活動の場があって。個人で音楽をやったり、大学や院で学んでいたり、APOGEEという主体がありつつも、それぞれ別の居場所も持って、マイペース、かつコンスタントにバンドを続けているのが、音源があまり売れなくなってしまったこの時代に合ったバンドの形なのかもな、と思っていた。特にここ最近のライブは、新曲を1曲は持ってくるような印象があった。活動期間があいてしまっていも、必ず「次」を示してくれていることは、ファンとしてとても安心できて嬉しかった。そういったこともあり、内垣さんが抜けたあと、その先を示してくれたのが、とても嬉しかったし、APOGEEはこれからもマイペースにゆるやかに続いていくんだろうなと思えた。

バンドをやっている人の夢だという、「自分のバンドを客席から見る」という形で、内垣さんはAPOGEEの未来を聴いていました。

内垣さんの脱退理由はやはり、海外への移住だった。内垣さんの娘さんはハンディキャップを持っていて、彼女の今後の教育を考えると、オランダへ移住する、というのが最適だということになった、という話をしてくれた。わたしは正直、こんなにプライベートなことを話さなくても、もっとあっさり「家庭の事情で」とかでもいいんじゃないかなと思った。けれど、内垣さんの言葉をきいて、そのことについて当たり前というか、特別でも何でもなく、オリジナリティだと受け止めていて。内垣さんが大学院に行ったのも、きっと彼女のためだった。内垣さんがそういうふうな考え方になったのか、もともとそうだったのか、今に至るまでの心境など推し量れるわけもないけれど、「彼女の染色体にはオリジナリティがあって」という言葉に救われた人もたくさんいたと思った。

涙、なみだの、というわけではなく、途中しんみりした瞬間も会ったけど、だいたいはあっけからんとしていて、さみしいけれど悲しいことではないな、と思った。ただ、大城さんの涙目はばっちり見たぞ。内垣さんはメンバーから花束を受け取って、ひとりひとりとハグを交わして、たくさん「ありがとう」と言って、ライブは終わった。3時間近い、圧巻のいいライブでした。

(どことは言わないけれど、ばっちり映っているワタクシ…。)

そして終演後のこの写真…。

次のAPOGEEの発表がライブでも、音源でも、どちらでも楽しみです。本当にずっと、ありがとうございました。   ちなみに、グッズもとてもかわいかった。