注射が苦手だ。本当に小さい頃はそうでもなかったが、初めて採血されたときに貧血になってからは採血が苦手になった。予防接種のように体内に入れる方は平気だったのに、大人になってからはとにかく針を刺されるのが怖くて採血も予防接種もどちらも苦手になった。
小学生の頃は学校で一斉に予防接種することが多かったため、一緒にいる同級生に強がることで平気だったと思う。見栄っぱりなおかげで、平気なふりをすることで本当に平気だった。今は誰に強がる必要もないのでとにかく痛いことはしたくないと思う。ピアスも開けたかったはずなのに、いざピアッサーが手元に来たら痛い思いをしてまで開ける必要があるのか?と思い始めて結局開けていない。高校生の頃は怖かったけどちゃんと開けた。ピアッサーではなくニードルで開けるくらい、あんなに平気だったのに。
学生の頃は毎日同級生、先輩、後輩と色んな人と関わらなくてはならず、大なり小なり嫌な思いをしたり、我慢したりすることが当たり前だった。集団生活をしているのだから仕方ないことだ。傷つきたくなくとも傷つくのは当たり前で、ある種の諦めがあった。社会人になった今、自分を傷つけるのはほとんど自分だけになった。どうしても自分だけが折り合いの悪い家族の元から離れ、会う友人も数人で、ひとりで生活し続けていると、傷つくことはほとんどない。会社の人は今のところいい人ばかりだし。時折社会に傷ついたりはするが、それも調整できる。学生の頃は閉じた空間だったから、子供の力では調整もできなかった。
そうして無痛な生活を続けているから、注射程度の痛い思いもしたくないと思ってしまうんだろう。病気にかかる方が辛いが、実際病気になるかどうかは分からない。でも、大人だから我慢して予防接種を打ちに行く。最近周囲の人達が立て続けに体調を崩しているし、相変わらず医療は逼迫しているのだから。